労働法判例穴埋め問題②(処遇)|社労士試験の勉強
近年の社労士試験では、判例の出題が増えています。
そこで無料で利用できる「判例の穴埋め問題」を作成しました。
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穴埋め問題は8つあります。
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利用上の注意点
- 本ページは厚生労働省の「確かめよう労働条件 」を複写しています
- 判例の骨子などを穴埋め問題としており、具体的な解説はしていません
- 社労士試験に出題されるのは最高裁判例がメインです。
- 最高裁判例には「★」を記載しています。
- 日本法においては特に最高裁判所が示した判断を「判例」、下級審の判断は「裁判例」と区別されますが、ここではすべて「判例」として扱っています
「募集条件と実際の労働条件が異なる場合」に関する判例
「募集条件と実際の労働条件が異なる場合」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) 求人の申し込みは(1. 応募の誘引 )に過ぎず、応募は契約の申込みであることから、(2. 求人広告 )等の内容がそのまま、労働契約の内容になるとはいえません。
(2) しかし、採用の際に、求人者と応募者間で、こうした(2. 求人広告 )等の内容を変更すると合意したと認められる特段の事情がない限り、(2. 求人広告 )の内容は労働契約の内容となります。
「募集条件と実際の労働条件が異なる場合」に関する判例として、以下の4つを紹介します。
- 千代田工業事件 (S58.10.19大阪地決)
- 千代田工業事件(H02.03.08大阪高判)
- 八州測量事件(S58.12.19東京高判)
- 福祉事業団A苑事件(H29.03.30京都地判)
千代田工業事件 (S58.10.19大阪地決)
【事案の概要】
(1) 求人票記載の雇用形態は期間の定めのないものであったとして、期間満了による雇止めは無効として地位保全を申し立てたもの。
(2) 大阪地裁は、申立てを認容する決定をした。
【判示の骨子】
(1) 求人の申込みは、法律上、(1.応募を誘っている)にすぎず、(2. 求人広告 )に記載した労働条件が直ちに労働契約の内容になるとはいえない。
(2) しかし、採用時などに双方の合意でこうした労働条件を変更したと認められるような特段の事情がない限り、(2. 求人広告 )の内容が労働契約の内容となるものと解される。
千代田工業事件(H02.03.08大阪高判)
【事案の概要】
(1) 求人票には期間の定めのない労働契約であったとして、期間満了による雇止めを無効として申し立てたもの。
(2) 裁判所は、当初は期間の定めのない雇用契約であったが、その後、期間の定めのあるものに変更することが合意されていたとして申立てを棄却した。
【判示の骨子】
(1) 求人票の真実性、重要性、公共性等からして、求職者は当然、求人票記載の労働条件が(1. 雇用契約 )の内容になるものと考えるし、通常、求人者も求人票に記載した労働条件が(1. 雇用契約 )の内容になることを前提としている。すると、求人票記載の労働条件は、当事者間でこれと異なる別段の合意をしたなど特段の事情がない限り、(1. 雇用契約 )の内容になるものと解される。
(2) 本件契約は、当初期間の定めのないものであったが、「六か月ごとに契約する特別職」との記載がある契約書に署名捺印することにより、期間の定めのある契約に変更する結果を招来したものであり、その他諸事情を総合考慮しても、本件更新拒絶が(2. 信義則 )に反し権利の濫用に当たるとは解せない。
八州測量事件(S58.12.19東京高判)
【事案の概要】
(1) 入社後の賃金額が、求人票の基本給見込額を下回っていたとして、その差額の支払いを求めたもの。
(2) 裁判所は、求人は労働契約申込みの誘引であり、そのまま最終の契約条項になることを予定するものでないなどとして申立てを棄却した。
【判示の骨子】
(1) 求人票記載の金額はあくまで見込額であるなど、賃金額が求人票記載のとおり当然(1. 確定 )したと解することはできない。
(2) しかし、求人者は、みだりに求人票記載の見込額を著しく下回る額で賃金を確定すべきでないことは(2. 信義則上 )、明らかである。
(3) 求人票記載の見込額と入社時の確定額は、いわゆる石油ショックによる経済上の変動予測に基づく判断で決定されたものであり、判断の明白な誤りや誇大表示によるかけ引きを企図したなど(3. 社会的非難 )に値する事実はなく、見込額を下回ることは一応説明されているところであり、(4. 信義則 )に反するとは言えない。
福祉事業団A苑事件(H29.03.30京都地判)
【事案の概要】
(1) 労働者Xは、ハローワークの求人票を見て、児童デイサービス等の業務を行うA苑に採用されたが、その求人票には、「期間の定めなし」、「定年なし」と記載されていた。ところが、その後、労働条件通知書には「契約期間を1年」、「定年を65歳」とされており、その労働者は、その労働条件通知書を見せられ署名押印を求められたが、既に前職を退職しており、これを拒否すると仕事がなくなり収入がたたれるとして、裏面に署名押印した。
(2) ところが、使用者は、その契約期間1年で期間が満了したとしてXを退職扱いしたので、Xが、従業員である地位の確認と退職後の賃金を求めて提訴した。
【判示の骨子】
(1) 求人票は、求人者が労働条件を明示した上で求職者の(1. 雇用契約 )締結の申込みを誘引するもので、求職者は、当然に求職票記載の労働条件が(1. 雇用契約 )の内容となることを前提に(1. 雇用契約 )の締結をするのであるから、求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる(2. 別段の合意 )をするなどの特段の事情の無い限り、(1. 雇用契約 )の内容となると解するのが相当である。
(2) なお、労働条件通知書を示して説明し署名押印したことにつき、使用者が行った労働条件の変更の効力については、その変更についての同意の有無は、当該行為を受け入れる旨の(3.労働者の行為)の有無だけでだけでなく、当該変更により当該行為がされるに至った(4. 経緯 )及びその(5. 態様 )、当該行為に先立つ労働者への(6. 情報提供 )又は説明の内容に照らして、当該行為が労働者の(7. 自由意思 )に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が(8. 客観的 )に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当である。
(3) 本件労働条件通知書に、Xが署名押印した行為は、その(7.自由な意思)に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が(8. 客観的 )に存在するとは認められないから、それによる労働条件の変更についてのXの同意があったとは認めることはできない。
「就業規則の効力」に関する判例
「就業規則の効力」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) 就業規則は、事業場内での(1. 社会的規範 )、(2. 法的規範 )であることから、その内容を現実に知っているか、(3.個別的に同意)しているか否かにかかわらず、その適用を受けます。
(2) 作成・変更された就業規則の条項の内容が(4.合理的なもの)であるかぎり、個々の労働者が同意していないとして、適用を拒否できません。
(3) 労働者は労働契約によって企業秩序遵守義務を負うことから、使用者は当該義務に違反した労働者を(5. 懲戒 )する権限を有しています。
(4) 使用者が(5. 懲戒 )するには、就業規則で予め(5. 懲戒 )の種別・事由を定め、これを労働者に(6. 周知 )しておかなければなりません。
「就業規則の効力」に関する判例として、以下の2つを紹介します。
- ★秋北バス事件 (S43.12.25最大判)
- ★フジ興産事件 (H15.10.10最二小判)
★秋北バス事件 (S43.12.25最大判)
【事案の概要】
(1) 主任以上の職にある者に新たに55歳停年制(一般従業員は50歳)を設ける就業規則の変更によって解雇された従業員Xが、本人の同意のない就業規則の変更には拘束されないから、その解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認を求めたもの。
(2) 最高裁は、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者が同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないとして、申立てを棄却した。
【判示の骨子】
(1) 就業規則は、当該事業場内での(1. 社会的規範 )にとどまらず、(2. 法的規範 )としての性質を認められているから、就業規則の存在や内容を現実に知っているか否かにかかわらず、また、(3. 個別的に同意 )したかどうかを問わず、当然に、その適用を受ける。
(2) 就業規則の作成・変更によって、既得の権利を奪い、不利益な労働条件を一方的に課すことは、原則として許されないが、労働条件の統一的・画一的な決定を建前とする就業規則の性質からして、当該規則条項が(4.合理的なもの)であるかぎり、個々の労働者が(5. 同意 )していないことを理由として、その適用を拒否することは許されない(これに対する不服は、(6. 団体交渉等 )の正当な手続による改善にまつほかはない)。
(3) 略
(4) 略
(5) 略
(6) 以上のことからすれば、当該条項は決して不合理なものではなく、また、信義則違反・(7. 権利濫用 )があったとは認められず、Xは、当該条項の適用を拒否できない。
★フジ興産事件 (H15.10.10最二小判)
【事案の概要】
(1) 上司に反抗的な態度をとったなどとして、直前に施行された新就業規則の懲戒条項に基づき懲戒解雇されたXが、就業規則が所定の手続きを経て労基署に届け出られたのは、本件解雇の直前であり、周知もされていない就業規則に基づく解雇は違法であるとして、その決定に関与したY社の取締役Y1ら3名に損害賠償を請求したもの。
(2) 最高裁は、懲戒処分には就業規則上の根拠と適用される労働者に周知されていることが必要であるとし、この点を認定しないままの大阪高裁の判断は違法であるとして、破棄差戻した。
【判示の骨子】
(1) 使用者が労働者を懲戒するには、就業規則であらかじめ、懲戒の(1. 種別 )と(2. 事由 )を定めておくことを要する。
(2) 就業規則が(3. 法的規範 )としての拘束力を生ずるためには、その内容が適用される事業場の労働者への(4. 周知手続 )が採られていることを要する。
(3) 略
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「内部告発と懲戒」に関する判例
「内部告発と懲戒」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) その(1.根幹的な部分)が真実であるなど一定の要件を満たした内部告発は正当な行為となります。
(2) 正当な告発を理由とする懲戒処分は無効であり、(2. 不法行為 )として損害賠償の対象となりえます。
「内部告発と懲戒」に関する判例として、以下を紹介します。
- 大阪いずみ市民生協事件(H15.6.18大阪地堺支裁判)
大阪いずみ市民生協事件(H15.6.18大阪地堺支裁判)
【事案の概要】
(1) 生協総代らに告発文書を送付するなどしたことにより、懲戒解雇・長期の自宅待機処分などを受けたXら3名が、内部告発に対する報復的行為・名誉侵害行為であり、精神的損害を被ったとして損害賠償を請求したもの。
(2) 大阪地裁は、一定の要件を満たした内部告発は正当な行為として、これを理由に懲戒解雇することは許されないとした(なお、懲戒解雇は地位保全の仮処分が認容され、Xらは職場復帰している)。
【判示の骨子】
(1) 内部告発の内容が虚偽の場合には、組織体に大きな打撃を与える危険がある一方、真実が含まれる場合には、当該組織体の運営方法等の改善の契機ともなる。
(2) 内部告発する者の(1. 人格的利益 )や(2. 表現の自由 )等との調整する必要もある。
(3) 次の要件を満たす内部告発は正当な行為として、これを理由に懲戒することは許されない。
ⅰ )その根幹的部分が(3. 真実 )か、告発者が(3. 真実 )と信ずる相当な理由がある、
ⅱ )その目的が(4. 公益性 )を有する、
ⅲ )その内容が告発される側にとって重要である、
ⅳ )その(5. 手段・方法 )が妥当である。
「試用期間」に関する判例
「試用期間」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) 入社当初に結んだ労働契約に期間を設けた場合、その期間を設けた趣旨・目的が労働者の(1. 適性 )を評価・判断するためのものであるときは、当該期間満了によりその契約が(2. 当然に終了 )する旨を当事者が合意しているなど特段の事情がないときには、当該期間は、(3. 解約権が留保 )された試用期間と解されます。
(2) 試用期間である以上、(4. 解約権の行使 )は通常の場合よりも広い範囲で認められますが、試用期間の趣旨・目的に照らし、客観的に合理的な理由があり、(5.社会通念上相当)とされる場合にのみ許されます。
(3) 試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれることから、その適性を判断するのに必要な(6.合理的な期間)を越えた長期の試用期間は、(7. 公序良俗 )に反し、その限りにおいて無効と解されます。
「試用期間」に関する判例として、以下の2つを紹介します。
- ★神戸弘稜学園事件 (H02.06.05最三小判)
- ブラザー工業事件 (S59.3.23名古屋地判)
★神戸弘稜学園事件 (H02.06.05最三小判)
【事案の概要】
(1) 開校2年目の私立高校の常勤講師として採用されたXが、契約期間は1年であったとして期間満了により雇用契約が終了したとされたことから、地位確認を求めたもの。
(2) 最高裁は、1年の期間満了により雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意があったとすることには疑問があるとして、期間1年が満了したことにより契約は終了したとする大阪高裁の判決を破棄し、差し戻した。
【判示の骨子】
(1) 新規採用者との雇用契約に期間を設けた場合に、その趣旨・目的が労働者の(1. 適性 )を評価・判断するためであるときは、当該期間の満了によりその雇用契約が(2. 当然に終了 )する旨の明確な合意があるなど特段の事情がある場合を除き、その期間は試用期間と解される。
(2) 試用期間付雇用契約の法的性質については、試用期間中の労働者がそうでない労働者と同じ職場で同じ職務に従事し、使用者の取扱いにも変わるところがなく、また、試用期間満了時に本採用に関する契約書作成の手続が採られていないような場合には、他に特段の事情がない限り、当該契約は(3. 解約権留保 )付雇用契約と解される。
(3) (3. 解雇権留保 )付雇用契約における解雇権の行使は、(3. 解約権留保 )の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由があり(4. 社会通念上相当 )として是認される場合に許されるものであり、通常の雇用契約における解雇の場合よりもより広い範囲の(5. 解雇の自由 )が認められるものの、試用期間付雇用契約が試用期間の満了により終了するのは、本採用の拒否すなわち留保された解約権の行使が許される場合でなければならない。
(4) 1年の期間の満了により本件雇用契約が当然に終了する旨の 明確な合意 があったとするには相当の疑問が残るのに、期間1年の満了により、雇用契約は終了したとする原判決には審理不尽、理由不備がある。
ブラザー工業事件 (S59.3.23名古屋地判)
【事案の概要】
(1) 中途採用の「見習」社員から登用試験を経て「試用」社員に登用されたが、その後3回の「社員」登用試験に合格しなかったことから、就業規則に基づき解雇されたXが、当該解雇は無効であるとして地位保全等を求めて仮処分を申請したもの。
(2) 名古屋地裁は、現業職員の業務適性は見習社員期間(短い者で6~9か月、長い者で15か月)中に判断できるから、試用社員に登用した者に更に12~15か月の試用期間を設ける合理的な必要性はないとして、当該解雇を無効とするなど申立ての一部を認容した。
【判示の骨子】
(1) 略
(2) 試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれるものであるから、労働能力や勤務態度等業務への(1. 適性 )を判断するのに必要な(2. 合理的な期間 )を超える試用期間は公序良俗に反し、その限りにおいて無効となる。
(3) 少なくとも現業従業員の場合、見習社員である期間(最短の者で6~9か月、最長の者12~15か月)中に、その(1. 適性 )を判断できるのであり、見習社員から試用社員に登用した者に更に6~12か月の試用期間を設け、試用社員登用の際の選考基準とほぼ同様の基準で社員登用を選考する(3.合理的な必要性)はない。
「管理監督者」に関する判例
「管理監督者」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) 管理監督者(労働基準法41条2号)とは、労働条件の決定その他労務管理について(1.経営者と一体的)な立場にあるものの意であり、名称にとらわれず、(2. 実態に即して )判断すべきものです。したがって、管理職と呼ばれる地位に至った労働者が直ちに労働基準法上の管理監督者に該当するものではありません。
(2) 管理監督者の判断基準は、以下のとおり。
① 当該者の地位、職務内容、責任と権限からみて、労働条件の決定その他労務管理について(1.経営者と一体的)な立場にあること。
② 勤務態様、特に自己の出退勤をはじめとする労働時間について(3. 裁量権 )を有していること。
③ 一般の従業員に比してその地位と権限にふさわしい(4. 賃金上 )の処遇を与えられていること。
「管理監督者」に関する判例として、以下の2つを紹介します。
- 医療法人徳州会事件 (S62.03.31大阪地判)
- 日本マクドナルド事件 (H20.01.28東京地判)
医療法人徳州会事件 (S62.03.31大阪地判)
【事案の概要】
(1) Y医療法人の人事第2課長として主として看護婦の募集業務に従事していたXが、労基法41条2号の管理監督者の地位にはなかったとして、時間外・休日・深夜労働にかかる割増賃金の支払いを求めて提訴したもの。
(2) 大阪地裁は、管理監督者の地位にあるものに該当するとした。
【判示の骨子】
(1) 労働基準法41条2号のいわゆる監督若しくは管理の地位にある者とは、労働時間、休憩及び休日に関する同法の規制を超えて活動しなければならない(1. 企業経営上 )の必要性が認められる者を指すから、労働条件の決定その他労務管理について(2. 経営者 )と一体的立場にあり、出勤、退勤等について 自由裁量 の権限を有し、厳格な制限を受けない者をいうものと解すべきである。
(2) XのY法人における地位、(3. 職務権限 )の内容、(4. 労働時間 )の決定権限、責任手当・特別調整手当の支給の実態等からみると、Xは、Y法人における看護婦の採否の決定、配置等(5. 労務管理 )について(2. 経営者 )と一体的な立場にあり、出勤、退勤時にそれぞれタイムカードに刻時すべき義務を負っているものの、それは精々拘束時間の長さを示すだけにとどまり、その間の実際の労働時間は原告の(6. 自由裁量 )に任せられ、労働時間そのものについては必ずしも厳格な制限を受けていないから、実際の労働時間に応じた時間外手当等が支給されない代わりに、責任手当、特別調整手当が支給されていることもあわせ考慮すると、Xは、右規定の監督若しくは管理の地位にある者に当たるものと認めるのが相当である。
日本マクドナルド事件 (H20.01.28東京地判)
【事案の概要】
(1) ハンバーガー販売会社であるY社は、就業規則において店長以上の職位の従業員を労基法41条2号の管理監督者として扱っているところ、直営店の店長であるXが、同条の管理監督者には該当しないとしてY社に対して過去2年分の割増賃金の支払等を求め、提訴したもの。
(2) 東京地裁は、管理監督者に当たるとは認められないと判示した。
【判示の骨子】
(1) 店長は、・・・(略)・・・、店舗運営において重要な職責を負っていることは明らかであるものの、店長の職務、権限は店舗内の事項に限られるのであって、企業経営上の必要から、(1. 経営者 )との一体的な立場において、労働基準法の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な(2. 職務と権限 )を付与されているとは認められない。
(2) 店長は、・・・(略)・・・、法定労働時間を超える長時間の時間外労働を余儀なくされるのであるから、かかる勤務実態からすると、労働時間に関する(3. 自由裁量性 )があったとは認められない。
(3) 店長の(4. 賃金 )は、労働基準法の労働時間等の適用を排除される管理監督者に対する待遇としては十分であるといい難い。
(4) 以上によれば、Y社における店長は、その職務の内容、権限及び責任の観点からしても、その待遇の観点からしても、管理監督者に当たるとは認められない。・・・(略)・・・。
その他の判例穴埋め問題
※本ページは厚生労働省の「確かめよう労働条件 」を元に作成されております。
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