労働法判例穴埋め問題⑥(労働条件の引き下げ・事業場外労働のみなし制・労災保険)|社労士試験の勉強
近年の社労士試験では、判例の出題が増えています。
そこで無料で利用できる「判例の穴埋め問題」を作成しました。
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利用上の注意点
- 本ページは厚生労働省の「確かめよう労働条件 」を複写しています
- 判例の骨子などを穴埋め問題としており、具体的な解説はしていません
- 社労士試験に出題されるのは最高裁判例がメインです。
- 最高裁判例には「★」を記載しています。
- 日本法においては特に最高裁判所が示した判断を「判例」、下級審の判断は「裁判例」と区別されますが、ここではすべて「判例」として扱っています
「労働条件の引き下げ」に関する判例
「労働条件の引き下げ」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) 労働条件の(1. 不利益変更 )は、労働者の同意を得て行うことができますが、その同意の有無の判断については、慎重に行わなければならないことがあります。
(2) その(1. 不利益変更 )を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、当該変更により労働者にもたらされる不利益の(2.内容及び程度)、労働者により当該行為がなされるに至った経緯、当該行為に先立つ労働者への(3. 情報提供 )または説明等の内容に照らして、当該行為が労働者の(4. 自由な意思 )に基づいて為されたものと認めるに足りる(5. 合理的理由 )が客観的に存在するか否かとの観点からも判断されるべきものとされました。
「労働条件の引き下げ」に関する判例として、以下の事件を紹介します。
★=最高裁判例
- ★大曲市農協事件 (S63.02.16最三小判)
- ★第四銀行事件 (H09.02.28最二小判)
- ★みちのく銀行事件(H12.9.7最一小判)
- ★朝日火災海上(石堂・本訴)事件 (H09.03.27最一小判)
- ★山梨県民信用組合事件(H28.02.19最二小判)
- 九州惣菜事件(H29.09.07福岡高判)
★大曲市農協事件 (S63.02.16最三小判)
【事案の概要】
(1) 合併後の農協Yにおいて新たに作成・適用された就業規則上の退職給与規程が、合併前の農協の従前の退職給与規程より不利益なものとなったことから、合併前より勤続していた退職労働者Xらが従前の退職金との差額を請求したもの。
(2) 本件就業規則変更の効力について、秋田地裁大曲支部においては合理性を認めたが、仙台高裁秋田支部においてはこれを認めなかった。最高裁は、就業規則の変更は有効として、Xらの請求を認めなかった。
【判示の骨子】
(1) 新たな就業規則の作成又は変更によって、(1.既得の権利 )を奪い、労働者に不利益な労働条件を(2. 一方的 )に課すことは、原則として許されないが、当該規則条項が(3. 合理的 )なものである限り、個々の労働者において、これに(4. 同意しない )ことを理由として、その適用を拒むことは許されない。
(2) 当該規則条項が(3. 合理的 )なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることになる(4. 不利益 )の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の(5. 法的規範性 )を是認できるだけの合理性を有するものであることをいう。特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような(6. 不利益 )を従業員に法的に受忍させることを許容することができるだけの(7.高度の必要性)に基づいた(8. 合理的 )な内容のものである場合において、その効力を生ずる。
(3) 新規程への変更によってXらが被った(4. 不利益 )の程度、変更の必要性の高さ、その内容、及び関連するその他の労働条件の改善状況に照らすと、本件における新規程への変更は、それによってXらが被った(4. 不利益 )を考慮しても、なおY組合の労使関係においてその(5. 法的規範性 )を是認できるだけの合理性を有し、Xらに対しても効力を生ずる。
★第四銀行事件 (H09.02.28最二小判)
【事案の概要】
(1) Y銀行と労働組合との間で、定年を55歳から60 歳に延長するかわりに給与等の減額、特別融資制度の新設等を内容とする労働協約が締結され、・・・(略)・・・、60歳で定年退職した従業員Xが、就業規則の変更は無効であるなどとして、賃金の差額の支払いを求めたもの。
(2) 新潟地裁、東京高裁ともXの請求を棄却し、最高裁も、就業規則変更の効力を認め、Xの訴えを棄却した
【判示の骨子】
(1) 就業規則条項が合理的なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その(1. 必要性 )及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることになる(2. 不利益 )の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の(3. 法的規範性 )を是認することができるだけの合理性を有するものであることをいう。
(2) 合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る(2. 不利益 )の程度、使用者側の変更の(1. 必要性 )の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、(4. 代償措置 )その他関連する他の労働条件の改善状況、(5. 労働組合 )等との交渉の経緯、他の(5. 労働組合 )又は他の従業員の対応、同種事項に関する(6.我が国社会)における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである。
(3) 本件変更の合理性につき、前示の諸事情に照らし検討するに、Y銀行において就業規則による一体的な変更を図ることの(1. 必要性 )及び相当性を是認することができ、本件定年制導入に伴う就業規則の変更は、Xに対しても効力を生ずる。
★みちのく銀行事件(H12.9.7最一小判)
【事案の概要】
(1) Y銀行が、賃金制度の2度にわたる見直しを行う際に、多数組合(従業員の73%が加入)の同意は得たが、少数組合の同意を得ないまま実施した就業規則の変更により、少数組合の組合員であった従業員Xらは、専任職発令が出され、管理職の肩書を失うとともに、賃金が減額されたため、就業規則の変更は、同意をしていないXらには効力が及ばないとして、専任職への辞令及び専任職としての給与辞令の各発令の無効確認、従前の賃金支払を受ける労働契約上の地位にあることの確認並びに差額賃金の支払を請求したもの。
(2) 青森地裁は就業規則変更の効力を否定し、仙台高裁はその効力を認めた。最高裁は、就業規則変更の効力を認めず、破棄差戻とした。
【判示の骨子】
(1) ・・・(略)・・・
(2) 就業規則の変更によってこのような制度の改正を行う場合には、一方的に不利益を受ける労働者について不利益性を緩和するなどの(1. 経過措置 )を設けることによる適切な(2. 救済 )を併せ図るべきであり、それがないままに右労働者に大きな不利益のみを(3. 受忍 )させることには、相当性がない。
★朝日火災海上(石堂・本訴)事件 (H09.03.27最一小判)
【事案の概要】
(1) A社鉄道保険部の業務を従業員ごと引き継いだY社は、両者の労働条件の統一について労働組合との交渉を続け、定年年齢(A社出身者は満63歳、それ以外の者は満55歳)について、A社出身者の定年を満57歳とし、退職金の支給基準率を引き下げることを主たる内容とする労働協約を締結したところ、A社出身の組合員であるXが、定年退職の時期は、少なくともXが満63歳に達した日であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあること、Xの退職金は、新退職金制度前の規定との差額の支払を受ける権利があることの確認を求めたもの。
(2) 神戸地裁、大阪高裁ともXの請求を認めず、最高裁も、本件労働協約は規範的効力を有するとしてXの請求を退けた。
【判示の骨子】
本件労働協約は、Xの定年及び退職金算定方法を不利益に変更するものであり、これによりXが受ける不利益は決して小さいものではないが、同協約が締結されるに至った(1. 経緯 )、当時のY社の経営状態、同協約に定められた基準の全体としての(2. 合理性 )に照らせば、同協約が特定の又は一部の組合員を殊更不利益に取り扱うことを目的として締結されたなど(3. 労働組合 )の目的を逸脱して締結されたものとはいえず、その(4. 規範的効力 )を否定すべき理由はない。
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★山梨県民信用組合事件(H28.02.19最二小判)
【事案の概要】
(1) 経営破綻に伴う経営の危機を他の信用組合に吸収合併をしてもらうことによって存続をする方法をとった消滅した信用組合が、吸収合併の条件として、労働者の退職金の引き下げを要請されたため、退職金を2分の1以下にする内容の退職金一覧表を示され、それに同意を求められた管理職らがやむなくそれに従い、退職金を引き下げる旨の同意書に署名押印をした。
(2) その同意書に署名・押印した管理職であったXら12名が、存続している信用組合に対して、退職金の不利益変更の同意は無効であるとして、存続している信用組合に差額の退職金の支払いを求めた。
(3) 第一審(平24.9.6甲府地判)、控訴審判決(平25.5.29東京高判)は、退職金一覧表の提示を受けて、合併後に残った場合の退職金額の具体的な提示と計算方法を具体的に知った上で、退職金を引き下げる旨の同意書に署名押印したのであり、不利益変更に同意したとしてXらの請求を棄却した。
(4) 本件判決は、控訴審判決は審理不尽で法令の適用を誤った違法があるとして、原審に破棄差戻しした。
【判示の骨子】
(1) 使用者が提示した労働条件の変更が(1. 賃金 )や(2. 退職金 )に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の(3. 労働者の行為 )があるとしても、労働者が使用者に雇用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており、自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば、当該行為をもって直ちに労働者の同意があったものとみるのは(4. 相当 )ではなく、当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は慎重にされるべきである。
(2) そうすると、就業規則に定められた(1. 賃金 )や(2. 退職金 )に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無は、当該変更を受け入れる旨の(3. 労働者の行為 )の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる(5. 不利益 )の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った(6. 経緯 )及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の(7. 自由な意思 )に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当である。
(3) ・・・(略)・・・
(4) ・・・(略)・・・
九州惣菜事件(H29.09.07福岡高判)
【事案の概要】
(1) 高齢者雇用安定法に基づき定年後の雇用継続制度を設けているY社で、定年に達したフルタイムの無期雇用労働者Xが、短時間労働者として賃金を大幅に減額する再雇用条件を提示されたことについて、再雇用の機会を不当に侵害し不法行為に当たるとして損害賠償を求め提訴したもの。
(2) 福岡高裁は、継続雇用制度の導入の趣旨に反し、裁量権を逸脱又は濫用したものであり、不法行為が成立する、と判示した。
【判示の骨子】
(1) 再雇用について、極めて不合理であって、高年齢労働者の希望・期待に著しく反し、到底受け入れならないような労働条件を提示する行為は、高年法9条1項に基づく(1. 継続雇用制度 )の導入の趣旨に違反した(2. 違法性 )を有し、65歳までの安定的雇用を享受できる(3. 法的保護 )に値する利益を侵害する不法行為となり得る。
(2) (1. 継続雇用制度 )(高年法9条1項2号)は、高年齢者の65歳までの(4.「安定した」)雇用を確保するための措置の一つであり、「当該定年の引上げ」(同1号)及び「当該定年の定めの廃止」(同3号)に準じる程度に、定年の前後における労働条件の(5. 継続性 )・(6. 連続性 )が一定程度、確保されることが前提ないし原則となると解するのが相当。
(3)(7. 労働契約法 )20条の趣旨に照らしても、再雇用を機に有期労働契約に転換した場合に、再雇用後の労働条件と定年退職前の労働条件との間に不合理な相違が生じることは許されないものと解される。
(4) 本件提案の条件による月額賃金は8万6400円となり、定年前の賃金の約25%に過ぎず、定年退職前の労働条件との(5. 継続性 )・(6. 連続性 )を一定程度確保するものとは到底いえない。
(5) 以上によれば、本件は、(1. 継続雇用制度 )の導入の趣旨に反し、裁量権を逸脱又は濫用したものであり、(8. 違法性 )があるものといわざるを得ず、Xに対する不法行為が成立する。
「事業場外労働のみなし制」に関する判例
「事業場外労働のみなし制」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合に、(1.所定労働時間 ) 労働したとみなす「事業場外労働に関するみなし労働時間制」を適用するには、「(2. 労働時間 )を算定し難いとき」に該当しなければなりません。
(2) 「(2. 労働時間 )を算定し難いとき」に該当するか否かについては、(3.通信手段の発達等 )も背景に事業場外労働についても多様化する中で(4. 定型的 )に判断するのは難しく、業務の性質・内容やその(5. 遂行の態様 )・状況等、業務に関する指示及び報告の方法・内容やその(6. 実施の態様 )などの要素を考慮しながら個々の勤務ごとの(7. 具体的な事情 )に着目した上で判断する必要があります。
「仕事上のミスを理由とする損害賠償」に関する判例として、以下の事件を紹介します。
★=最高裁判例
- ★阪急トラベルサポート事件(H26.01.24最二小判)
- ★協同組合グローブ事件(R06.04.16最三小判)
★阪急トラベルサポート事件(H26.01.24最二小判)
【事案の概要】
(1) X(添乗員)はY社(派遣会社)に雇用され、旅行会社A社が主催するツアーの添乗業務に派遣された。Y社との雇用契約では、就業時間は原則午前8時から午後8時だが、実際の時間は派遣先のA社に準ずるとされていた。
(2) A社のツアー日程はパンフレット等で確定し、添乗員用アイテナリーには詳細な予定時刻が記載されていた。
(3) 添乗員の業務は、出発前の準備から帰国後の報告まで多岐にわたる。具体的には、空港での参加者対応、出入国手続き案内、機内・現地での案内、ホテルチェックイン支援、そして現地での旅程管理が含まれる。
(4) A社は添乗員にマニュアル配布、携帯電話の常時携帯を義務付け、提出された添乗日報で業務状況を詳細に把握していた。
(5) ツアー内容の変更は原則として旅程保証違反となり、賠償金の対象となるため、添乗員は変更を避けるよう義務付けられていた。重大な変更はA社への報告・指示が必要だった。
(6) XはY社に対し、時間外割増賃金を請求。Y社は労働時間算定が困難なため、みなし労働時間制が適用されると主張し争った。一審はみなし労働時間制を適用しつつXの請求を概ね認容、原審は労働時間算定が可能としてみなし労働時間制の適用を否定し、Xの請求を一部認容。これに対しY社が上告した。
【判示の骨子】
(1) 本件添乗業務は、・・・(略)・・・、ツアーの旅行日程は、A社とツアー参加者との間の契約内容としてその日時や目的地等を明らかにして定められており、その旅行日程につき、添乗員は、・・・(略)・・・旅程の管理等を行うことが求められている。
そうすると、本件添乗業務は、・・・(略)・・・、業務の内容があらかじめ(1. 具体的に確定 )されており、添乗員が自ら決定できる事項の範囲及びその決定に係る(2. 選択の幅 )は限られているものということができる。
(2) また、ツアーの開始前には、A社は、添乗員に対し、・・・(略)・・・、これらに従った業務を行うことを命じている。そして、ツアーの実施中においても、本件会社は、添乗員に対し、携帯電話を所持して常時電源を入れておき、・・・(略)・・・、A社に報告して(3. 指 示 )を受けることを求めている。
さらに、ツアーの終了後においては、A社は、添乗員に対し、・・・(略)・・・、業務の遂行の状況等の(4. 詳細かつ正確 )な報告を求めているところ、その報告の内容については、ツアー参加者のアンケートを参照することや関係者に問合せをすることによってその(5. 正確性 )を確認することができるものになっている。
・・・(略)・・・
(3) 以上のような業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び(6. 報 告 )の方法、内容やその実施の態様、状況等に鑑みると、本件添乗業務については、これに従事する添乗員の勤務の状況を(7. 具体的に把握 )することが困難であったとは認め難く、労働基準法38条の2第1項にいう『(8. 労働時間 )を算定し難いとき』に当たるとはいえないと解するのが相当である。
★協同組合グローブ事件(R06.04.16最三小判)
【事案の概要】
(1) Xは、外国人の技能実習に係る監理団体であるYに雇用され、技能実習生の指導員として勤務していた。
(2) Xは、実習実施者への訪問指導、技能実習生への指導・支援等の業務に従事していた。Xは、本件業務に関し、自ら具体的なスケジュールを管理し、・・・(略)・・・。Xはタイムカードを用いた労働時間の管理を受けておらず、自らの判断により直行直帰することもできたが、月末には、・・・(略)・・・業務日報をYに提出し確認を受けていた。
(3) Xは、Yに対し、時間外労働等に対する賃金の支払等を求めて本件訴えを提起した。Yは、Xの業務の一部については労基法38条の2第1項の「労働時間を算定し難いとき」に当たり、同条により所定労働時間労働したものとみなされる等と主張し、これを争っている。
第1審および原審は、Xへの労基法38条の2第1項の適用を否定し、Xの上記賃金請求の一部を認容した。これに対し、Yが上告受理申立てをした。
【判示の骨子】
(1) 1. ・・・(略)・・・、Xは、自ら具体的なスケジュールを管理し、・・・(略)・・・休憩をとることや自らの判断により直行直帰することも許されていたものといえ、随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることもなかった。
2. このような事情の下で、業務の性質、内容やその(1. 遂行の態様 )、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその(2. 実施の態様 )、状況等を考慮すれば、・・・(略)・・・、Yにおいて、Xの事業場外における勤務の状況を(3. 具体的に把握 )することが容易であったと直ちにはいい難い。
(2) 1. 原審は、XがYに提出していた業務日報に関し、①その記載内容につき実習実施者等への確認が可能であること、②Y自身が業務日報の(4. 正 確 性 )を前提に時間外労働の時間を算定して残業手当を支払う場合もあったことを指摘した上で、その(4. 正 確 性 )が担保されていたなどと評価し、もって本件業務につき本件規定の適用を否定したものである。
2. しかし、上記①については、・・・(略)・・・、実習実施者等に確認するという方法の現実的な可能性や実効性等は、具体的には明らかでない。上記②についても、・・・(略)・・・、Yが一定の場合に残業手当を支払っていた事実のみをもって、業務日報の(4. 正 確 性 )が客観的に担保されていたなどと評価することができるものでもない。
3. 以上によれば、原審は、業務日報の(4. 正 確 性 )の担保に関する(5. 具体的な事情 )を十分に検討することなく、業務日報による報告のみを重視して、本件業務につき本件規定にいう「(6. 労働時間 )を算定し難いとき」に当たるとはいえないとしたものであり、このような原審の判断には、本件規定の解釈適用を誤った違法があるというべきである。
〔なお、本判決には、近時の通信手段の発達等の中で、個々の事例ごとの具体的事情に着目した判断を行っていく必要がある旨の補足意見が付されている。〕
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「労災支給処分と保険料認定処分の関係」に関する判例
「労災支給処分と保険料認定処分の関係」について、基本的な方向性は以下のとおりです。
【基本的な方向性】
(1) 労災保険法に基づく労災支給処分と労働保険徴収法に基づく保険料認定処分とは(1. 相互に独立 )した法律関係にあります。
(2) 労災保険法が労災保険給付の支給・不支給の判断について行政処分をもって行うこととしているのは、被災労働者等の(2.迅速かつ公正な保護)という目的に照らし、多くの法律関係を早期に確定し(3. 実効的な救済 )を図る趣旨であり、(4. 保険料額の基礎 )まで早期に確定しようとするものとは解されません。
(3) 労働保険徴収法のメリット制の趣旨は、企業間の公平を図るとともに、(5.企業の災害防止)の努力を促進するものですが、メリット制の適用を受ける企業は、労災保険の支給処分の違法性((6. 業務起因性 )が存在しない等)を保険料認定処分の不服申立て・取消訴訟で主張することができます。
「労災支給処分と保険料認定処分の関係」に関する判例として、以下の事件を紹介します。
★=最高裁判例
- 一般財団法人あんしん財団事件(R06.07.04最一小判)
★一般財団法人あんしん財団事件(R06.07.04最一小判)
【事案の概要】
(1) Xは、その支局に勤務していたAが精神疾患にり患したことにつき札幌中央労働基準監督署長が労災保険給付(療養補償給付および休業補償給付)の各支給決定をしたことに対し、その取消しを求めて、Y(国)を相手に取消訴訟を提起した。Xは、・・・(略)・・・メリット制の適用を受ける事業の事業主(以下「特定事業主」)であり、Aへの給付額を基礎として算定された保険料負担額はそれを基礎としない場合と比べて合計758万7198円増加するものとされた。
(2) 第1審は、①労災保険法は被災労働者等の法的利益の保護を図ることのみを目的としており、労災支給処分との関係で、特定事業主の労働保険料に係る法律上の利益を保護していると解する法律上の根拠は見出せないとして、Xの原告適格を否定し、Xの訴えを却下した。しかしあわせて、②保険料認定処分に対する不服申立て・取消訴訟において、労災支給処分の違法性(業務起因性の不存在等)を取消事由として主張することが許される余地があるとも判断していた。これに対し、Xが控訴した。
(3) 原審は、①特定事業主であるXは、自らの事業に係る労災支給処分がされた場合、同処分の法的効果により直接具体的な不利益を被るおそれのある者であるから、同処分の取消訴訟の原告適格を有するものであり、②保険料認定処分の取消訴訟においては、労災支給処分の違法を取消事由として主張することは許されないと解するのが相当であるとして、第1審判決を取り消した。これに対し、Y(国)が上告した。
【判示の骨子】
(1) 1. 労災保険法が・・・(略)・・・、被災労働者等の(1. 迅速かつ公正な保護 )という労災保険の目的に照らし、労災保険給付に係る多数の法律関係の(2. 早期確定 )と専門の不服審査機関による不服申立て制度によって、被災労働者等の権利利益の(3. 実効的な救済 )を図る趣旨に出たものであって、特定事業主の(4.労働保険料額決定)の基礎となる法律関係まで早期に確定しようとするものとは解されない。
仮に、労災支給処分によって上記法律関係まで確定されるとすれば、当該特定事業主にこれを争う機会が与えられるべきものと解されるが、それでは、労災保険給付に係る法律関係の(2. 早期確定 )の趣旨が損なわれることとなる。
2. ・・・(略)・・・メリット制の趣旨は、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができる範囲内で、事業主間の公平を図るとともに、事業主の(5. 災害防止 )の努力を促進することにあるところ、客観的に支給要件を満たさない労災保険給付の額を特定事業主の(4.労働保険料額決定)の基礎とすることは上記趣旨に反するし、・・・(略)・・・。
労働保険料徴収等の制度の仕組みにも照らせば、労働保険料の額は、申告又は(6. 保険料認定処分 )の時に決定することができれば足り、労災支給処分によってその基礎となる法律関係を確定しておくべき必要性は見いだし難い。
3. ・・・(略)・・・。そうすると、労災支給処分に基づく労災保険給付の額が当然に上記の決定に影響を及ぼすものではないから、特定事業主は、労災支給処分により自己の権利・利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということはできない。
(2) 1. したがって、特定事業主は、上記労災支給処分の取消訴訟の原告適格を(7. 有しない )というべきである。
2. 特定事業主は、自己に対する保険料認定処分についての不服申立て又はその取消訴訟において、当該(6. 保険料認定処分 )自体の違法事由として、客観的に支給要件を満たさない労災保険給付の額が基礎とされたことにより労働保険料が増額されたことを主張することができるから、上記事業主の手続保障に欠けるところはない。
その他の判例穴埋め問題
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